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いら☆くまっ!(目覚めた)

見た目は大学生・頭脳はエロゲ脳なイラックマによるエロゲーレビューブログ

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【レビュー】 Dear My Friend

2004年に発売された、くすくす&NYAONコンビの出世作。
思い入れの強い作品なので、とんでもなくレビューが長い上何が言いたいのかよくわかりません。

ネタバレを多量に含むので、プレイ済みの方のみ閲覧推奨。
シナリオ・・・37/40点

今年=2007年のエロゲ不作の原因は「特異な設定を活かしきれないシナリオ」ではないかと
私は勝手に思ってるのですが、このDearMyFriendは「王道な設定を最高に昇華したシナリオ」。


~序盤の展開~
 
あくまで「仲の良い友達同士」で一緒にいた主人公とヒロインたち。
そこへある日、孤児院から主人公宅へと引き取られた麻衣という女の子がやってくる。
麻衣はその天然さ故か、周囲の目を気にせず、それこそ恋人のように主人公に接する。

それを見たヒロインたちは、主人公と続けてきた「友達以上恋人未満」の関係がこれから少しずつ変わっていくであろうことを予感する。


ま、ありがちな話ですよね。
簡単に言ってしまえば「あんな子供に主人公を取られてたまるもんですか!」っていうことなんですが、
そんなに軽いノリではありません。なぜならヒロインたちはみんな、

麻衣・・・孤児院出身、しかももうすぐ潰れるということで「里親」という形で主人公宅へ引き取られる
都香・・・母親が死んで、それを忘れようとした父に捨てられて一人暮らし
月夜・・・生まれ持った「傷を癒す(本当は違いますが)」という特殊能力の代償に苦しめられている
小麦・・・出生にある秘密があり、母親に捨てられた
冴香・・・両親だけ研究で外国で暮らしていて放り出された


という重い生い立ちの持ち主だから。
それをヒロインたちはコンプレックスとして持っていますから、それを主人公が受け止めていくような形で話が進みます。

以下攻略順にあらすじとキャラ別感想。※ネタバレを多量に含みます。※


●麻衣

主人公は極力麻衣に「家族」として接するようにしているため、「友情と恋愛」よりは「家族と恋愛」の間で思い悩むルート。

孤児院出身なので、最初は「家族」という存在だけで満足していたんですが、主人公に徐々に魅かれるにつれて
それだけでは物足りなくなってくる、という麻衣の心情を非常に細かく描いています。

物語が進むに連れて話がどんどん重くなり、終盤で「主人公と麻衣は兄妹かもしれない」という疑惑が。
しかも麻衣はそれを知っていながら主人公に恋心を抱いていたことが明らかになります。

結局疑惑は晴れて本当の父親が見つかり、麻衣は「実の父の元で暮らしたい」と希望します。
そして別れ。
なんやかんやあって(そこが見せ場です)最後は主人公と暮らすことになってハッピーエンド、と。

まあエロゲとしてはあまり目新しい話ではないのです。
しかし、「単純に恋愛感情としてだけではなく」主人公が好きという健気で強い麻衣の気持ちの表し方、
それに最後の実父の元で暮らすことを決めたときの麻衣の独白が素晴らしく、思わず見入ってしまいました。

●冴香

最初に言っておきますが結構露骨なおまけ扱いです。一応「幼なじみと恋愛との間」で悩むルートかな。

このルートの見所は何といっても日常シーンではないかと。
年上お姉さんにからかわれたい!っていう願望を持ってる方には悶絶ものでしょう。
これは他のキャラにも言えますが、ヤキモチ焼くシーンも良いですね。

シリアス部分ですが、このキャラが一番生い立ちが軽いのであまり印象には残ってません。だっておまけだから。
キャラはものすごく気に入っていただけに、この扱いはなんだか残念。

●小麦

話の雰囲気のギャップが一番激しかったルート。
序盤はコメディ調のドタバタ→中盤は遊び相手から恋人への軌跡→終盤は生い立ちに関するドシリアス。

最初は主人公を「面白いヤツ」としてしか見てなかったのに、それが徐々に恋愛感情に発展して戸惑う・・・
こちらも王道まっしぐらな話に見えますが、後半は一転してドがつくほどのシリアスな雰囲気。
小麦がつけている獣耳の裏設定があきらかになります。

それは、「自分は体外受精で生まれた子供で人間じゃない。だから耳をつけている」というもの。
最後はそれを主人公がすべて受け止めて、「お前を好きになった俺が馬鹿みたいだろ?」

まさかあの耳の話を最後まで引っ張るとは思ってもみませんでしたが、この設定は斬新でした。
エピローグで「これ、もう卒業しなきゃね」と言って獣耳をはずすシーンには感動させていただきました。

●都香

これがメインルートではないかと思われます。
「男女間に友情は成立しない」に一番沿っているお話。

主人公は昔、都香に既に告白していた過去がありますが、そのとき都香は母のこともあり、
失うことを恐れて告白を断ります。そして一度は友達に戻ったものの、やっぱり・・・

「過去」を上手く使っているルートですね。どうでもいい所で無駄に男性経験がある設定を付けてみたりするゲームは嫌いですが、
こういう意味のある部分に「過去」があると物語に深みが出て大好きです。

またこのルートは特に独白部分(都香視点で進むストーリー)が多いため、お互いの現在の心情が非常にわかりやすかったです。

●月夜

何も知らずにこのルートを最後に持ってきた当時の俺を褒めてあげたい。

NYAON氏の特徴でもありますが、「死」を描いたルートです。
自分の持つ超能力のせいでイジメに苦しみ、それでも笑顔でふるまう彼女の本音に主人公が迫る、という流れ。
この作品唯一のファンタジー設定のあるルート。

序盤は、「超能力(傷を癒す能力)」さえ除けばごく普通の学園モノ。
しかし終盤、この傷を癒す超能力は、実は月夜自身の命を分け与えるものだったことが判明します。
月夜はそれを知りながらも、自分の大切な人達を助けるために使い続けていたんですね。

そして終盤、別れの時が訪れます。大好きだった焚き火を、大好きだった主人公の腕の中で見ながら、静かに息絶える月夜。
しかし月夜の魂は、主人公の中に入り込み、奇跡を願って謡います。
そしてここぞとばかりに流れる月夜専用挿入歌、「たまあひのうた」。

― 神の詩 静か夢想 尊き夢さえ いつしか失せ


もう書いてるだけで泣きそう。

さて、長々と書いてきましたが、全体的に見れば平凡な学園モノにすぎません。
冗長な、あまり変化の無い日常パートの方が多いため、途中で挫折しそうになるかもしれません。

しかし「男女間の友情」というテーマを根幹に据えたことで、
家庭内事情や生い立ちなどの√ごとのテーマと巧く絡み、読み応えのあるドラマになっていました。


CG・・・20/20点

今までプレイした中で最も美しい!と感じた絵。エロゲにしては目の大きさが普通。
立ち絵パターンが非常に多く、キャラの魅力を最大限に引き出している絵だと思います。
それだけに枚数の少なさが残念か。

キャラ・・・17/20点

シナリオゲーでありながら、萌えゲーとしてもイけるぐらい全キャラに愛着が湧きました。
メインヒロインに関しては全員満点。

気になったのは、どうでもいいところでキレたり、人に当たったりする主人公。
シリアスパートになると本領発揮、ヒロインのことを一番に考えられる好青年になりますが、
日常パートからしてとても子供っぽい。
このライターさんの書く主人公はいつもそう。

まあ完璧主人公は好きじゃないですし、学生ということでリアリティがあっていいのかもしれませんが、
重い話なだけにもう少し大人っぽさを見せて欲しかったです。

ボイス・・・10/10点

かわしまりの(久城麻衣)
九条信乃(北沢都香)
西田こむぎ(栗原月夜)
金田まひる(黒崎小麦)
一色ヒカル(永村冴香)

いつみても凄いキャストだなあと思うのですが、それぞれの声優さんがまたキャラにあった演技をしてらっしゃって
なんかとんでもないことになってました。名前だけ売れてるわけじゃないなと。
中でもメイン3人の演技は別格の素晴らしさ。文句の付け所も見つからず。

樋口氏のクラシック調のBGM、また先ほど触れた「たまあひのうた」などのWhiteLipsさんが歌っている歌も、
この作品の暖かい雰囲気作りに一役買っていました。

たしか初回版にはサウンドトラックが付いてたんでしたっけ?買っときゃよかった。


システム・・・9/10点

主にタイトル画面でのレスポンスの遅さが気になりましたが、それ以外はとくに不便は感じず。
それにしてもこれだけ詰め込んでCD1枚ってどんな魔法を使ったんでしょうか。
加えてディスクレス起動可なので、快適にプレイできました。




Total・・・93/100点

シナリオ自体は探せば結構粗がありますが、何より、神妙なテキスト・演出・CG・音楽全てから作り出された雰囲気が秀逸。
印象の強い作品ではないのに、なぜか冬が来る度「久しぶりにやってみようかな・・・」と思える、そんな作品。

テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム

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