久しぶりの憎たらしい直球厨二病主人公に心惹かれ手に取った作品。
憎たらしいどころかむしろ
かわいい主人公だったのは喜んでいいことなのか・・・
シナリオ・・・26/40体験版収録部分に於ける、ボディーガードとプリンシパルという作りこまれた独特の雰囲気、
主人公が頑なに隠そうとする過去、バックに大きな黒幕を匂わせる緊張感と焦燥感。
完璧でした。
こ こ ま で は 。 体験版として、ユーザーを引き込むには大成功だったと思います。
後半、あの丁寧に作りこまれた世界観はどこへやら。学園内は安全、登下校する街も賢い犯罪者は狙わない、
屋敷ももちろん安全、
もうボディーガードの設定すら必要ないのでは?というか、悪役が襲ってくるのではなくてお嬢様が自分勝手に向かって行ってしまい、
それを主人公が追うという展開がほとんどなので、「触れなければ危険でもなんでもないんじゃね?」と思ってしまい、
イマイチ危機感を覚えないのも問題。
それ以前に
悪役らしい悪役が出てすらこないルートが過半数なのは、護衛モノとしていかがなものか。
主人公は「強いのに実力を隠している」という設定なのに、その強さを生かすのが仲間内のタイマン、
喧嘩ぐらいしかないのは残念。
そのせいか、なんとなくグダグダなまま山場もなく終わり、彩・萌ルートは非常に短い。
また、主人公の過去が明かされるツキ・麗華ルートも放りっぱなしの伏線が多く、
展開が唐突すぎて頭に「?」が浮かんでそのまま中途半端に終わってしまった印象。
一応、全ルートに共通した過去のつながりはあるようですが。
その点妙ルートは、後付け設定のようにも見えますが話が上手く纏まっており、
バカップル期間も長く、END前の山場の展開も比較的自然でした。
相変わらず
ボディガード設定は全く必要ありませんでした。貶しまくった割にそれほど点数が低くないのは、単純に
テキストが面白かったから。
シナリオ展開が悪いといっても、日常のギャグテキストは素晴らしかったです。
特にツキと主人公の漫才、最近のゲームでは一番笑わせていただきました。
一見嫌味に見えるキャラにもどこかしら愛嬌があるので、全員がギャグキャラになれたのが◎。
キャラ・・・17/20二階堂麗華誰もが期待していたであろう、正統派ツンデレお嬢様。意外とノリも良く、冷静沈着といった感じではありません。
序盤は「デレ」の「デ」の字の「d」すら見せないので
「これ本当にデレんの?」と心配にもなりましたが、
個別に入って数十分、その瞬間は突然訪れました。
「いつの間にかアイツに惚れてた・・・そう、あの助けてくれた瞬間から・・・」
やってしまいました。ツンデレで一番萎えるパターン、「いつの間にか惚れてた」。
まあデレた後の破壊力が凄いから許しちゃうんだけどさ。貧乳を気にするところとか萌え転がりました。
二階堂彩姉と180°性格の違う、地味でおっとり天然系ときどき毒舌キャラ。
・・・実際、この1行だけで説明が終われるぐらい
キャラが薄い。尊のキャラが前面に出まくるシナリオなのもあって余計に薄い。
良い意味でお嬢様らしくないキャラでした。好意を持ってるのに行動に出れないところとか、普通の奥手な学生ですね。
倉屋敷妙麗華よりも可愛げのあるツンデレお嬢様。こちらもどのタイミングでデレるか楽しみにしていたら・・・
速い。誰もが想像し得なかった速度でデレた。
結構個別の序盤の方でデレるので、バカップルっぷりを堪能するなら麗華よりも妙。
そこいらの萌えゲーなんかよりよっぽど萌えさせていただきました。むしろそこいらの萌えゲーがこれを見習うべき。
神崎萌天然無口食いしん坊、でも武道最強お嬢様。所謂「素直クール」に分類されるのではないかと。
お嬢様の雰囲気が見事に排除され、むしろ
何でお嬢様設定の必要があったのかすらわからないキャラ。
濃いキャラが多い中で、この天然ぼんやり感はクセになりそうな心地よさ。彩がそういう役目かと思ってたらこっちでした。
ツキ日常で海斗と繰り広げられる漫才、もうこれだけで十二分にその存在価値を発揮しているキャラ。
漫才の相性もノリも最高、でも麗華以上にデレの気配が感じられず、結局
デレるタイミングが全キャラ中最遅。というのも、シナリオがそんなこと言ってる場合じゃないシリアスさになってくるので仕方ないのですが・・・
主人公厨二病(自分は選ばれし存在だと思ってしまったり、物事に真面目に取り組まない、目上の人に反抗するなど、
中学2年生あたりに見られる思春期独特の症状)設定をこれでもか!と前面に押し出し、
こいつのせいでこの作品を
購入予定からはずしたり、逆に楽しみになったりした方も多いと思いますが、
実際それほど大したことはありません。せいぜい「素直になれない」ぐらいの軽度なものですし、
何しろ厨二病特有の無謀な考えを実現してしまう力を備えているので不快にも感じません。
また、ツキや男サブキャラとの会話、掛け合いのテンポとノリは最強。普段はギャグキャラに徹しており、憎めません。
冷静な口調でアホなことを体張ってやるので、かなりシュールなギャグですが相当笑いました。
かなり褒めちぎりましたが、なぜ17点なのかというと、
サブキャラ「杏子」の存在。序盤では、主人公の過去を知るキーマン的なポジションで描かれているにもかかわらず、
結局はツキルートでわずかに顔を見せただけで、「あれ?あいつなんだったの?」状態のまま終了。
このキャラを生かせば、もっと深い設定を作れたはずでは・・・
逆に、尊に関しては、キャラの濃さ故、メインの彩をやや食っているのがマイナス。
キャラ自体はクールぶったイジられ上手で好きなんですけどね。薫はその辺のバランスは上手かったです。
・・・という2点が不満材料。とはいえ、やっぱりメインヒロインはどのキャラも魅力的。
万人受けしそうな絵、鉄板の声優陣と相まって、キャラ萌えに関してはかなりのレベルにあります。
特にツキは、3月の時点で既に
今年のベストメイドの座をほぼ手中に収めたと言ってもいい。
CG・・・20/20原画はトモセシュンサク氏。本当に美しい画を描かれる人です。
変にキャラ萌えゲーらしくなく、かといってキャラの愛嬌を失わずという絶妙のバランス。
そして、本当にまったくと言っていいほど
デッサンが崩れない。この人の特徴なのか、人物をただ正面から見るだけでなく、見上げたり、斜めや後ろから見たりとアクティブなアングルからのCGが
とても目立ちますが、そのどれもが違和感0。素人目ながら驚きました。
枚数も、各ヒロイン17×5枚+他15枚と多目で、Hシーンでは差分の多さも見られ、
CGに関してはパーフェクト。欲を言えば・・・・・・も特になし。
ボイス・・・9/10鉄板の声優さんをそれぞれキャラに合った起用をしているので、極めて自然な演技でした。
特にツキのCv.大花どんは超ハマリ役。緑○さんもあるサブキャラで出演。
音楽は・・・
地味。とにかく地味。
耳に溶け込む音楽ではあるけれど残りはしないBGM、イマイチサビが盛り上がらないボーカル曲、
作品の雰囲気を壊さないという意味では良い曲なんですけどね。
システム・・・8/10インターフェースにもこだわり、セーブは100箇所、次の選択肢/前の選択肢までスキップを搭載し、
プレイ中特に不便は感じませんでした。
ただ全体的に動作がもっさりしているのがマイナス。特にタイトル画面と鑑賞画面、
レスポンスに2秒ほどかかっていたような。
Total・・・80/100確かに単なるキャラ萌えゲーとして見れば90点を付けても良いデキではあるけれど、
体験版・OHPのシナリオに関する記述などの印象から、
シナリオを疎かにした萌えゲーを期待した人がそんなにいるのかは甚だ疑問。たいていの購買層は、
「体験版で露骨に伏せられている過去を慎重に解き明かしつつ、プリンシパルを"護る"護衛の物語を読みたい」そう思っていたはず。
僕の場合、怪我の功名というか、偶然萌えゲー方向に意識が傾いてくれたので点数は少々高めですが、
俺TUEEEEしたかったり、護衛と黒幕の戦闘シーンなんかを期待すると泣きを見るのでご注意を。
...しつこく繰り返すと、
ヒロイン陣は全員非常に魅力的。多少雑なシナリオでも良いのならキャラ萌えだけは保障できます。
いやー萌えた萌えた
テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム