私にとって本来、購入できなかった「Dies irae」のための、あくまで穴埋めであったはずのこの作品。
しかし実際は、穴埋めなんてもんじゃない、私の中で今年の上位作品と同等にまでのし上がってしまいました。
※ネタバレを多量に含みます。
キャラ・・・28/30点※便宜上、シナリオに関してもこの項目で触れています。
OHPを見る限り普通の萌えゲーにしか見えませんでしたが、実際プレイすると本当に一人一人個性的でキャラが立ってます。
あるルートでは立ちすぎて若干不快になるぐらい。
主人公。
今年のベスト主人公でもいいかも知れない。ギャグキャラでありながら気配りのできる男であり、
悩むところは真剣に悩む、しかし行動はためらわないという完璧萌えゲー主人公でした。
行動力のある主人公は話にメリハリがついて良いですね。
脇役も、桜井先輩を筆頭にメインを引き立てる最高の素材。
ただ主人公やヒロインが頼るというよりは、どちらかと言えば盛り上げ役としての役割が強め。
時々盛り上げすぎて五月蝿かったのがマイナスかな。
とりあえずキャラ別にレビューしていきます。
長いです。ネタバレも多いです。【夜々】元々バカップルを売りにしていた『こいびとどうしですることぜんぶ』を
遥かに凌駕すると言ってもいいでしょう。
いわゆるツンデレの派生タイプ、クーデレに近い感じ?で、デレ始める瞬間がもうヤバイ。
最初は好意どころか敵意から始まるので感動も一入。
や、プレイ日記でキャラが合わないとは言いましたけど、バカップルストーリーはライターが萌えというものを
心得ていて、ある程度文章力がないと面白くならないので、客観的に見ても評価していいと思います。
で、シリアスパート。不自然に「おにいちゃん」とか呼び出したり、序盤から見え見えの伏線ですが、夜々は実妹だったことが明らかに。
既に関係を持っていた主人公は悩みに悩みます。しかし夜々は
「レッツ背徳」とか言い出して逆に積極的に!
そしていよいよ終盤、物語は一気に加速。
何故二人は実の兄妹なのに離れ離れになったのか、出会ったのに何故言われるまで気づかなかったのか。
その辺がラストで明らかになります。
このルートで印象的だったのは、「奇跡を与えるクローバー」が逆に災いをもたらす存在として描かれていたこと。
その辺のクローバーの扱いは良い意味でエロゲーらしくなかったし、予想外でした。
【真星】学園のドジっ子アイドル、「はいはいワンパターンワンパターン」と思ってたら、これもただのドジっ子じゃなかった。
いや、ただのドジっ子なんだけどそのドジには理由がありました、みたいな。
このルートは本当に印象が薄い。
共通ルートの劇の話を引っ張ったまままた新しい劇の話に入るのでメリハリがなく、
正直途中まではダラダラ冗長でつまらんと思いながらプレイしてました。
最終的には、「昔主人公に思いを寄せたことがあった」「恋愛ごっこをしたことがあった」という伏線が効いてきて、
結局主人公の本当の気持ちを伝えてもらっていないことで不安になっている、ということが明らかに。
主人公が、「ごっこ」じゃなくて自分の本当の気持ちを手紙に記し、劇でそれを読む場面を上演してフィナーレ。
いや、
クローバーはなんだったんだという謎のルート。演出に巧く誤魔化された気もします。
ま、このルートにおけるクローバーの扱いも「幸せをもたらす」「願いをかなえる」といったものではないですね。
【月音】「学園ではいつもお姉さんぶる完璧先輩、本当の姿は俺だけが知っている」
俺のHDD見たのか!と言わんばかりの完璧に私専用特注設定のお姉さんキャラです。
お姉さんぶってたのに、主人公の成長を認めてしまうところとかたまらんのですよ。
ずっとおふざけでやってきたから改めて告白も照れる、っていう描写も完備。
あれですね、同人業界に大人気のTH2のタマ姉。
姉御肌キャラの定番をしっかり押さえてます。本当によくわかってる。
このルートの主題は「絵」。
絵をやめてしまった理由を、主人公が徐々に聞き出して協力して解決していこう、というストーリー。
ところで、先に書いた「キャラが立ちすぎて不快」は実はこのルートのこと。
独白(自虐?)シーンがあるのですが、そこでの「どーせ私なんか!」みたいな台詞が、演技が上手すぎて若干
怖い。そのおかげでストーリーがやけに重厚になってましたけど。
ただ全ルートの中で一番オチが弱いのが残念。クローバーの扱いもどうにも中途半端・・・。
【美緒里】お金にこだわる小悪魔後輩。
新しい。実に斬新な設定。登場場面は少ないにもかかわらず本当に序盤からキャラが良く立っていました。
個別に入ると徐々にそのかわいらしさと不器用さが表れてきて・・・
ストーリーもこれまたあまり見かけないような展開の仕方。
「妙にお金にこだわる」「垣間見える不自然な言動」「クローバー」という3つの伏線を所々に張って
ラスト30分で纏めて回収。たとえ後付けにしても綺麗に纏まってます。
また、奇跡のクローバーについて一番真剣に考えるルートでもあります。
「人を生き返らせたり過去を覆す、それは奇跡なのか?」なんとなく考えさせられるストーリー。
【シロツメ】『でるた!』のサリエルを思わせる風貌と性格。
というか
ほとんどまんま。こちらのほうが若干ギャグ成分が強いでしょうか。
クローバーガーデンの主、という大層な身分なのにどこか憎めない感じ。
ストーリーについては「シナリオ」の項で。
CG・・・19/20点枚数は差分なしで100枚。
キャラ数にしては多めで、一枚一枚発色がよく塗りがとても丁寧で、「ザ・萌えゲー」といった感じの絵。
巨乳キャラでも顔はロリ寄りなので好みが分かれそうですが、そこはOHPで判断を。
立ち絵は、少し顔と胴体のバランスが微妙ですが随所にこだわりが見られます。
月音がかんざしを取った、というのをさりげなく立ち絵に反映したり、下着が日ごとに違ったり、エフェクトも豊富。
重ささえ気にしなければ、見ていてとてもよく動き楽しいですね。
エロ・・・18/20点何故だろう、
とてつもなくエロい。数は一人4~7シーン、2シーンとかの萌えゲも多い中でこの数は立派。
さらに何よりCGの構図とテキストが
エロすぎる。シチュエーション・プレイも豊富で、何回戦かするので尺も長く、ただの萌えゲーとナメてると主に下半身が痛い目にあいます。
とくに美緒里の初回のアナルセックスは必見。
草柳順子さんがもの凄い喘ぎ声を熱演していらっしゃいます。
あそこまでヒートアップしたHシーンは陵辱ゲーでもなかなか見ないぞ。
あと頑張ってたのは真星の初Hシーンのときの顔射。
顔射の時にCGが顔に寄るんですよ。こういう細かい演出がエロさを倍増させてました。
シナリオ・・・9/10点日常会話から非常にテンポが良く、サクサク読み進められるしテキストも面白い。
序盤で展開が冗長でも読めたのはこのおかげ。
セリフ回しが凝ってたりするところもあって、
バカなこと書いてる割に中の人は知的なんだなと思ったりもしました。
ただの萌えゲーではない、結構凝った構成をしています。
まず「見つけると奇跡が起こるクローバーガーデン」という共通のテーマを掲げておいて、
その後キャラごとに個別の伏線を張り、ルート終盤でクローバーガーデンの話と絡めて回収する、という構成。
そしてグランドフィナーレとなるシロツメルートで、
「伝説の台本の作者『唐橋みどり』」
「クローバーガーデンができた経緯」
「シロツメの正体」そして
「タイトル『CloverPoint』の意味」この散々シナリオ中にばら撒いてきた3つの伏線を回収。
うーん、とりあえず
見事!の一言。キャラごとに差があったりはしますが高レベル間での差異ですし。
伏線の張り方や回収の仕方が実に自然で、私みたいに批評姿勢でなくても気軽に楽しめるし、
深く考えてみると良く練られているという、萌えゲーに+αして魅せてくれたストーリーでした。
ボイス・・・10/10点よく連れてきたな、という超豪華メンバー。
それも、姉キャラに芹園みや、妹キャラにみる、
年増年上キャラに深井晴花と適材適所の起用。
文句のつけようがありません。満点。
OP・EDのボーカル曲はまあ良からず悪からず。とっても健全な普通のOP。別に印象に残らないED。
つまり
微妙。BGMもまあ耳に残りはしないけど馴染む程度。やっぱり
微妙。あまり大手のメーカーじゃないので仕方ないのかもしれませんが、シナリオやキャラ・CGなどの素材はいいのに
こういう演出部分が弱いのが唯一のウィークポイント。
システム・・・7/10点エフェクトをオフにしても、若干引っかかるスキップの遅さが惜しい。
ただアクティブ状態でなくてもゲームを進行できるように設定できるのでその辺はあまり苦にはなりませんでした。
インターフェースは、テックアーツと同じで別窓で細かい所まで設定させてくれるタイプ。
上で書いた非アクティブ時の進行設定のほか、細かいフォントまで設定可能。
Total・・・91/100点資金面の問題なのか、演出の弱さから名作と呼ぶには微妙なところですが、今年多かった「普通の良作」と片付けるにも惜しい。
Meteorというブランドは解散してしまいましたが、新ブランドとして立ち上がったCometに期待。
いやー、最後の最後に良い作品をプレイできました。これで2007年は気持ちよく終われそうです。
2006年は『
donor』だったからなあ。
クリスマス付近にとんでもないものをプレイしてしまい途方に暮れながら年が明けた記憶が・・・
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