2007年 部門別 エロゲー名作選 5月、今年一の期待作と言われていた『君が主で執事が俺で』が事実上ユーザーの期待にそぐわず失敗して以降、
バグ、延期による作りこみ不足などで期待作が次々と「そこそこの良作」に終わった2007年。
昨年の『マブラヴ オルタネイティヴ』『遥かに仰ぎ、麗しの』『この青空に約束を-』『戦国ランス』『もしも明日が晴れならば』
これらに匹敵する「名作」は例年に比べ大幅に少なかったと思います。
しかし、確かに欠点は多かれど、どこか光る部分を持った作品は多く見られました。
ここでは、そんな一芸に秀でた作品をセレクトし、「2007年部門別エロゲー名作選」とさせていただきます。
■萌えゲー部門 1位 Clover Point (12/21 Meteor)
最後の最後に姿を現した最強の伏兵。
キャラが良く立っており、ライターが萌えゲーをよく心得ていました。
ただの萌えゲーで終わらせないストーリー、しかし決して萌え部分を隠さない驚異的なバランス。
まさに2007年No.1萌えゲーに相応しいと言えましょう。
2位 HoneyComing (6/29 HOOK)
特筆すべきは「オンリーワンモード」。
俺はこの子を選んだんだ、という精神的な充足感が萌えを増幅させてくれる斬新なシステムでした。
また、発売後もキャンペーンに力を入れるメーカーの態度も好印象。
次点 オレと彼女は主従なカンケイ (アトリエかぐや) ■泣きゲー部門 1位 夢見師 (5/18 H℃)
非常に珍しいPS2からの逆移植作品。難解になりがちなループものを、
設定を簡潔にし、ヒロイン一人一人からの過去を描いて感情移入しやすいようにしたのは見事。
幾多の強烈なBADエンドを乗り越えた後の咲夜エンド(トゥルーエンド)には感動。
2位 Purely~その狭い青空を見上げて~ (8/24 RUNE)
シリアスへの持って行き方は伏線もクソもない完全なご都合主義なのに、
なぜかその後の展開は奇跡は起きぬ現実主義、という珍しいストーリーでした。
唐突な展開の部分にさえ目を瞑れば、かなり優秀な泣きゲー。「温泉街」というのどかな世界観が素晴らしい。
次点 該当なし ■笑ゲー部門 1位 遊撃警艦パトベセル ~こちら首都圏上空青空署~ (4/27 May-Be Soft)
半ば開き直りとも言える濃度のパロディネタが詰め込まれ、久しぶりに爆笑させていただきました。
結構な良作を輩出しながらあまり評価されていなかったMay-Beが、やっと日の目を見た出世作でもあります。
2位 世界で一番NG(だめ)な恋 (11/22 HERMIT)
感動があまり無かった分、バラエティに富んだ脇役と地方ネタを使った笑いのほうに重点が置かれていたように思います。
「机をつる」が地方表現なのは久しく忘れていた感覚。
次点 あかね色に染まる坂 (feng)
■「エロ」ゲー部門 1位 艶女医 ~2人のエッチな女医とエロエロ研修体験~ (9/28 アトリエかぐや)
BerkshireYorkshireがついに本気を出した姉ゲー集大成。
なんとハーレムルートでは、
シーンをまたいで28連発を記録。後半は飽き飽きしますが、エロさなら間違いなく今年No.1。
2位 プリンセスナイト☆カチュア ~堕ちた竜騎姫~ (7/27 わるきゅ~れ)
低価格ゲーながら、そのテキストとアニメーションは秀逸。
アニメーションの質自体はもっといいものがありますが、¥2000を割ってこのボリュームは見事。
次点 炎の孕ませ同級生 (9/21 SQUEEZ)
■CG部門 1位 Purely~その狭い青空を見上げて~ (8/24 RUNE)
原画の美しさもさることながら、塗りの色の鮮やかさに思わず目を奪われました。
もともとロリキャラを多く描いていた人ですが、普通にきょにゅーの描き方もエロかったです。
2位 Clover Point (12/21 Meteor)
本当にかわいらしい、良い意味でエロゲーらしい絵を描く人です。
キャラデザがロリ寄りなので好み分かれそうですけど。
Purely同様、光の使い方が巧くて見た目がとても映えますね。
次点 艶女医 (アトリエかぐや)
こいびとどうしですることぜんぶ (Sirius) ■音楽(ボーカル曲)部門 1位 happiness (Purely~その狭い青空を見上げて~ EDテーマ)
歌詞は
伏雛的BLOG様が掲載していらっしゃいますので参考に。
ラストであるつむぎシナリオにリンクした歌。
歌詞もサビの盛り上がりもDucaさんの歌唱力も文句のつけようの無いほど素晴しい。
最初から最後まで一貫した「秋の温泉街」という世界観の、大トリに相応しい雰囲気を持った名曲。
2位 革命★キッス! Kiss! Kiss! Revolution! (絶対★妹至上主義!! 主題歌)
とりあえず頭から離れない電波曲を2位にランクイン。
OPだけ見るとキャラを誤解しそうですが、歌だけでなくて作品も非常にアクが強いので要注意。
次点 Happy my life ~Thank you everything!!~ (D.C.II SpringCelebration)
■迷作・地雷部門 1位 蔵の中にはキケンがいっぱい!? (6/29 F&C)
のどかな田舎の雰囲気を思わせるOHPに反した、女の嫉妬全開の昼ドラ的展開で大いに話題を呼びました。
しかし別にそちら方面で面白いわけでもないので、全くコンセプトがわかりませんでしたが。
つくしてあげるのに! (6/1 PeasSoft)
どちらにしようか迷った挙句同率1位に決定。メインヒロインポジションで紹介したキャラを攻略対象にせずHシーンすら無くし、
それに憤怒したユーザーのコメントを全削除するというある意味清清しい快挙を成し遂げました。
※桃華月譚を入れれば間違いなく1位ですが、残念ながら購入してません。
次点 君が主で執事が俺で (みなとそふと)
■総合部門 1位 世界で一番NG(だめ)な恋 (11/22 HERMIT)
どうしてもキャラごとにシナリオに格差が出るHERMIT特有の変な構成ですが、
さすがにメインヒロイン美都子ルートは非の打ち所もない完璧さだったので今年No.1に決定。
彼の文章力についてはもう語る必要もないでしょう。
やっぱりライターが博識だとシリアスもギャグも面白くなるもんです。
2位 Clover Point (12/21 Meteor)
今年の萌えゲーの中で、最も上手く萌えとシリアスのバランスをとったゲームと言えるでしょう。
キャラ立ち、萌え、シナリオ、エロ、CG、どれをとっても「Aクラス」の優等生。
何か一つでも「Sクラス」があれば、1位とチェンジしても良かったんですが。
3位 Purely~その狭い青空を見上げて~ (8/24 RUNE)
2007年、惜しい作品ダントツ1位。
メイン4人のうち、最初に書いたと思われる3人のシナリオは粗はあれども名作レベル。
しかし最後のつむぎルート、時間がなかったんでしょうが、締めが中途半端で伏線放りっぱなし。
デバッグも不足してバグだらけ。OHPは発売日1ヶ月前から完全放置。
もう少し、もう少し作りこめば名作になれたはず。「延期さえなければ」もしくは「発売日があと2ヶ月遅ければ」。
4位 遊撃警艦パトベセル ~こちら首都圏上空青空署~ (4/27 May-Be SOFT)
「へんし~ん!」あたりから見てきて、ああ成長したなあ・・・と感慨深かったので4位にランクイン。
キャラデザからパクリ全開はやりすぎな気もしますが、ここまで開き直られると清清しいですね。
何気にエロにも力を入れているのもこのメーカーのポイント。
5位 炎の孕ませ同級生 (9/21 SQUEEZ)
抜きゲー唯一のランクイン。やらしい意味じゃなくて、おっぱいに力を入れているのが趣味にヒット。
また、20人ヒロインが出てくるのに全員個性があって誰も被らない、これは地味に凄い。
■総評 テキスト面で勝る『だめ恋』か、演出面で勝る『Purely』か、2点のバランスで勝る『Clover Point』か。
この3作品で非常に迷いました。結局シナリオとテキストの面白さからだめ恋を1位に選びましたが、
実際5位まで一長一短でほとんど差はありません。いや、夢見師とアンジェリカとオレカノを含めて8位ぐらいまで僅差だったでしょうか。
さてここから2007年エロゲー総評。
すっごく暇なのでダラダラと書きたいこと全部書きます。長いので師走で忙しい人は読み飛ばしてください。 まず各所で聞かれる
「今年は不作だった」について。
たしかに「今年発売の名作を挙げてみろ」と言われても、だめ恋程度しか挙げることができませんが、
「今年発売の良作を挙げてみろ」ならいくらでも挙げることができます。
90点の作品は少なかった、だけど80点前後の作品は例年より多かったはず。
ただしテキスト勝負系、バカゲーはまだしも泣きゲーは
かなり悲惨な不作だったとだけ付け加えておきます。
1位に挙げた『夢見師』、2位の『Purely』、たしかに泣いたけれど、どう見ても粗がありすぎる。
一昨年のパルフェ、去年のもしらばには遠く及びませんでした。
ところで、今年の漢字は
『偽』。
偽装問題に揺れた今年、エロゲー界でも色々な
「偽」がありました。
某大手2chブログにも取り上げられました、『つくしてあげるのに!』問題。
攻略対象でもないキャラをメインヒロインと同等に紹介し、攻略人数を
偽るという暴挙。
さらにそれに対する不平不満のコメントを全削除までやってのける大物っぷりでした。
また、記憶に新しい『Dies irae』問題。
ライターが逃げたのか病気なのか、どちらにしろ当初の紹介どおりのものができないのは
早い段階からわかっていたにもかかわらず、「延期」と
偽り続け他のライターが必死に穴を埋めて発売。
ユーザーがブチ切れてlightが折れ、続編を作ると公式に発表する事態に発展しました。
そして『あかね色に染まる坂』、『蔵の中にはキケンがいっぱい!?』に代表される、内容の
偽り。
前者は、情報公開の甘さにより、普通の萌えゲーだと勘違いしていたユーザーが暴動を起こしたもの。
後者は、メーカー自体が意図的にサプライズを起こそうとしてやった広告詐欺。
さらにぼとむれすを筆頭とする度重なる延期。
「バグ修正にてこずって・・・」とか言ってますが、
もうライターが瀕死とかそういう理由しか考えられない。
いったい何年、待ってもいない客を
偽り続ければ気が済むのか。
今年特に気になったのは延期。延びて当然、予定は未定、そんな風潮が見え隠れしています。
内容は仕方が無いとしても、最低限期日を守るのは社会人のルールです。
「偽」。来年はこんな不名誉な漢字に表される年にならないよう期待してます。
長くなりましたが、最後に
「2008年、エロゲーに求めるもの」。
とりあえず個人的な話で
「正統派泣きゲー」を切願してます。
来年は就活で忙しくなる年なので、心を綺麗にしてくれる正統派名作泣きゲーが欲しいです。
また、
「演出にこだわったゲーム」が欲しい。つまるところ「波が来てるときの戯画作品」みたいなの。
『Purely』は演出は好きだけどシナリオが微妙、『CloverPoint』『だめ恋』はシナリオはいいが演出が弱い。
両方兼ね備えた、エンディングで全身に鳥肌が立つような作品が無かったので。
そろそろロミオの新作が来るだろうから期待できるかな。
最後に、
「ただの萌えゲー」を!
エロゲーって本来そういうものだと思うんですが、最近はどうもシリアス入れたりキャラが不快だったり余計なことして・・・
ういんどみる、もしくは調子が良いときのF&Cみたいなのを希望。
理由は「エロゲーやってるときぐらい現実から逃げ出したい」、それだけ。
ダラダラ書きましたが、願うことは一つだけ。来年も良作にめぐり合えますように!
そして今年5月にブログを立ち上げてから、「いら☆くまっ!」を御閲覧頂き、意見・感想を賜った皆様に、
この場を借りて深くお礼申し上げます。
・・・なんかブログ閉鎖コメントに見えますが、しぶとく潰れませんよ。
テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム