・・・難しいなあ、今作のレビュー。
信者としてはあんまりめちゃくちゃ貶したくもないし、かと言って「いつもの」メイビーから見れば劣っているのは事実だし。
まあ出来るだけ客観的に見るように努めます。今回はキャラ萌えゲーとして見た方が点数が高くなりそうなのでそちらで。
キャラ・・・24/30点まずはキャラ別に。便宜上、シナリオについても少し触れます。
近藤イサミカウントダウンボイスで
2008年3月現在一番イライラしたので全く期待してませんでしたが、
やかましいキャラが多い中でこのホンワカさは非常に癒されました。ただ、佐学派に所属することになった生い立ちと、
共学化に踏み切るきっかけが無理矢理すぎるかなあと。まあキャラとしては思ってたよりは悪くないレベル。
土方歳緒誰もが期待していたであろう正統派ツンデレ・・・・・・のハズだったんでしょうが、あまりにデレが少なくて
死にたくなった人も多いのでは。前半9割散々主人公を足蹴にした後、掌を返したように
「一緒にいたい男ができたのでな・・・///」なんて言われたって萌えようがないじゃないですか。
沖田総詩キャラ紹介の印象と違って、案外主人公には好意的なキャラ。ただやる気がなくて病弱装ってダラついてるだけ、
かと思いきや・・・・!っていう7割以上のユーザーが想像してそうなベタなシナリオでしたが、一番筋が通ってて、新選組に
所属している理由も一番まともだったような。
土方をからかいながらも信用してて、気心の知れてる感じなんかはとても良かったです。
原田沙乃主に声優の問題で一番心配してたキャラ。しかしこれが思わぬダークホースで、その普段の男っぽい声と
エロシーンのロリ声とのギャップが非常にけしからん。主人公と同学年ながら、姉御肌な所があるのもポイント。
新選組設定ガン無視な流れでしたが、女の子らしくしようと頑張る→「俺はそのままの君が好き///」
みたいな感じで、王道ながらもキャラを上手く生かせていたシナリオだと思います。
永倉やち原田と多少被りますが、姉御肌で包容力のある先輩。「『恋愛とは雅なものなのでは?』と疑問を抱いている」と
キャラ紹介にあったように、新選組に所属している理由が
最も適当。そのせいか途中で新選組を抜け出して討学派へ行き、自由に主人公と恋愛しちゃう始末。
ノリの良いキャラのおかげでシナリオはテンポ良く進み、そのおかげでそれほど違和感を覚えずに済んだのが救い。
違和感どころかむしろかなり上手い感じに出来上がっており、
「そもそも新選組って設定いらねーんじゃねーの?」という一番言ってはいけないことを見事に象徴しているシナリオでした。
斉藤初音土方の次に主人公を毛嫌いしてそうな無口キャラ。シナリオでは主に冷静なツッコミを担当。
ところが共通ルートが終わったところで180°キャラが変わり、主人公独占嫉妬キャラに大変身。
あまりに急すぎて色々疑いましたが、結局どんでん返しもなく、そのまま終了。
いつ「ドッキリ」とか書かれた札を持って現れるかドキドキしてたのに。
藤堂芹栖恋愛に憧れまくっている純情妄想爆発キャラ。しかしいざその妄想が実現してしまうとあたふたしてしまう辺り
実にかわいい。
マジでかわいい。ヤバかわいい。バカップル期間が非常に長く、キャラに一番萌えられました。
このシナリオに至ってはもう新選組は
「敵」に近い存在であり、ますます新選組設定の存在意義が微妙に。
その他討学派のみなさん坂本はなんかインパクトが薄いし、伊織はやきそばパンネタを引っ張りすぎだし、
まあこれじゃあ個別シナリオなくても仕方ないやと思ってたら
心はもう別格。こころんに1シーンしかないとかもう
気がくるっとるとしか思えない。
あの上品さと色仕掛けのエロさ、それに主人公に惚れてるという設定、全てにおいて完璧。マジで
こころんは人生。なんかかわいそうな人になってきたのでこの辺でやめときますが、是非個別ルートがプレイしたかったです。
OHPで一目惚れしたキャラなんて『Clover Heart's』の御子柴姉妹以来だったんだぞ!
主人公普段は受身、Hシーンだと急にかっこよくなる
典型的ダメ男。さすがにパトベセルとまでは言わないけど、せめてもう少し活躍する場があってもいいのに・・・
土方の尻に敷かれ、近藤に振り回されてた印象しか残ってません。
ノリもイマイチ、バトルはダメ、変態、にもかかわらず早漏、
なんなんだお前は。ということで、土方のツンデレ具合と主人公のヘタレ具合以外は、キャラに関してたいした不満はありません。
まあだからこそキャラ萌えゲーとして採点したんですけどね。
キャラ萌えだけは前作レベルをキープできていたのではないかと思います。
ツンデレはれおにゃんの足元にも及ばなかったけど。エロ・・・11/20点エロの濃いメーカーとしても定評を集めるようになりましたが、今回は正直言って
使えません。絵はもちろん素晴らしいし、テキストも上出来、ボイスは鉄板、アニメもナチュラル、
でも早漏。あまりに主人公が早漏すぎて、他の部分のプラスを完全に打ち消しています。
学園ならではのシチュエーションが多かったこと、またこのメーカーの売りでもある着衣Hが多かったことは高評価。
でも早漏。それに、キャラの衣装や髪型が変わるイベントがあると、その姿でHするイベントがしっかり用意されている、
これも素晴らしい。
But、早漏。まさか早漏がここまでマイナスの威力を持つ要素だったとは・・・CG・・・19/20点ここはまあ文句の付けようがありませんね。モノモノのころから既に一つの完成系だったと思います。
アニメーションも初期と比べれば大分マシになり、カメラワークも前作のように動きすぎることもなく、
適度な臨場感がありました。若干画質が低下するのはもうしょうがないのかな・・・
シナリオ・・・4/10点モノモノ~パトベセルのように、1日1日を過ごしていく中でギャグや個別のイベントが起こる、という形ではなく、
今回は池田屋事件、八月十八日の政変、愛津思魂祭などのイベントをピックアップして繋げているだけなので、
日常シーンが大幅に減り、それに伴ってギャグの分量も半減しています。
さらに短い。
とんでもなく短い。おそらくコンプリートに10時間かかってないと思います。
キャラの多さとシナリオの長さ、トレードオフの関係なのでどちらかを取るしかなかったんでしょうが、
全員が全員あまりに中途半端。
まあ好き嫌いの分かれるパロディはかなり控えめになってますし、箒星氏自前のギャグは悪くありませんが、
パトベセルのあのノリを期待すると地雷となる可能性は大いにあります。
そして重大な問題なのは、
物語に統一性がなくてギクシャクしてること。そもそも共学を推進するために来た主人公が、学園の伝統を守る新選組に所属する時点でおかしいわけで、
大した志も持っていない主人公は流されるだけ、何をしにきたのかわかりません。
キャラの項で書いたように、隊長格であるヒロイン達もそれぞれ新選組に所属している理由は大きく異なり、
新選組自体の向かう所もあまり具体的には描写されず、結構グダグダな集まりに見えてしまっています。
そのうち、筋の通った主張を持つ討学派の方がとても格好良く見えてきて、新選組の居心地が悪く、
「主人公は討学派にいて佐学派に恋愛の素晴らしさを教えた方が面白いんじゃねえの?」とか思ったり。
結局半数以上のルートで最終的には共学になってしまいますし、実際そのことにはライターも気づいてたんでしょうけど、
「新撰組は将軍お預かりの守護職だから」っていう史実が邪魔をしているわけですが。
そう考えると、史実パロディのネックということで仕方がないっちゃあそうなのですが、
主人公が新選組に入った経緯ぐらいは書けたはず。
なぜ共学を進めに来たのに佐学派に入ったのかが完全に放置じゃなあ・・・・
主人公に共学化を進める固い意志さえあれば、
「俺が新選組に入って女の子達に男の良いところを見せて共学化を進めるんだ!」で丸く収まったはずなんですけどね。良い意味で軽く考えられる人向けのシナリオだと思います。
箒星氏を神格化するようであんまり言いたくないけど、
たぶん糞・・・じゃなくて
想ファクトリーを初めとする5人の他ライターの影響もあるんじゃないかなー。
5人がそれぞれ1ルート担当、って形だとしたら、隊長格のヒロイン達の志が統一されていないのも頷けますし。
次回作は是非箒星氏単独の作品を切望します。
ボイス・・・7/10点さすがにいつもの鉄板声優さん達なので演技は文句なし。
成瀬未亜さんの、芹栖の猫声とこころんのお嬢様声の使い分けには感服いたしました。
金田まひるさんの沙乃も、普段と照れた時のギャップが素晴らしかったです。
で、まあこれもいつものことなんですが
この安っぽいBGMはどうにかならんのか。OPと決闘シーンとEDが全部使い回しって・・・同人じゃないんだから。
今回はそのOPが中々良かったのでまだウンザリまでは行きませんでしたが。
システム・・・8/10点いつもの
質素なインターフェース、いつもの
設定項目の多さ、いつもの
重さを兼ね備えたいつもどおりのシステム。
なんだか年々重くなってきている気がしますが気のせいでしょうか。私みたいに512MBのオンボロだと、
アニメーションシーンなんかは特に、他のアプリケーションはまともに動かないのでご注意を。
Total・・・73/100点ファンと言う立場を極力無視しても、作り自体は丁寧で、決して地雷と呼べるものではないとは思います。
私みたいにいつものメイビーを求めて買ったのならそれほど駄作というわけでもなく、パトベセルのノリを期待して買うと
泣きを見てしまう、ただそれだけの話。でも・・・・・・
少し前までマイナーメーカーだったこと、だからこそ、パトベセルで興味を持ったその後者の購買層が
どれだけ多いかを考えると・・・・・・地雷、なんだよなあ。
「フィクションです」って言って欲しい・・・
テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム